労災病院という言葉を聞いたことはあるけれど、実際にどのような医療機関なのか詳しく知らないという方は多いです。
この病院は、厚生労働省所轄の独立行政法人労働者健康福祉機構が運営する医療機関であり、業務上または職業上被った怪我・疾病の予防から治療、リハビリを提供し職場復帰までを一貫して専門的にサポートを行います。
労災指定病院と労災病院は運営元が異なる
労働者の福祉を目的としているため労災によって怪我をしてしまった場合、この病院を利用すると労働者自身の負担がより減り、完治するまで安心して治療を受けることができます。
似たような医療機関として労災指定病院がありますが、こちらは都道府県労働局長が指定しており運営元が異なるため全く異なる医療機関といえます。
この2つの医療機関は根本的な部分で違いはありますが、実際には労災で怪我を治療する際に優劣は一切なく、労働者福祉を重視している施設といえます。
労災病院が持つ大きな特徴
では労災病院が持つ大きな特徴な何かというと、この病院は構造や規模、内容が国立病院と同等の水準を有する大規模な病院であり、救急救命センターなども備えていることが特徴です。
そして労働災害において起こりやすい怪我や疾病に対応できるように、整形外科や外科、理学診療科や内科などに重点を置いており、労災を受けた患者は無償で治療を受けることができます。
これは病院でかかった治療費は、病院側からの請求手続き後に労災保険から直接医療費の支払いがされるためで、労働者と病院の間に金銭授受がないことも大きな特徴の1つです。
参考:労災病院のメリットと手続き、支払いについてわかりやすく解説
労災病院と一般病院との違い
一般病院との違いとしては、施設水準や病床数を比較すると労災病院は国立病院のような大規模な公的医療機関に近く、さらに労災疾病に関わる研究やメンタルヘルス面の対策など、民間病院では専門としない分野を担当していることが大きな違いとなります。
また一般病院で労災の手続きを行う場合、患者が一旦窓口で支払いを建て替えする必要がありますが、労災鋲打印なら患者が受診や通院の際に窓口で支払いを行う必要がなくなります。
労災病院を利用するメリット
患者負担が一切ない
では実際に自分が職務中に怪我や病気をして、労災を受けることになった場合に労災病院を利用することで得られるメリットには何があるかというと、「患者負担が一切ないこと」が挙げられます。
怪我の状態によっては自宅近くにある一般の病院に通いたいと考える方も多く、実際に指定外の医療機関でも労災の手続きを行うことは可能です。
ただ指定外の医療機関で治療を受ける場合、一旦費用を負担する必要があり負担額も保険が適用にならないため10割負担で支払いを行う必要があります。
軽度の怪我であれば短期間で治療が完了することも多いので問題にならないケースもありますが、手術が必要であったりリハビリを行うなど長期にわたって治療を受け続ける必要がある場合、かなりの経済的な負担になりかねません。
こういった場合病気や怪我で働くことができず、お金に困っているという状況下では経済的に病院に通うことが難しくなるため、指定医療機関を利用することによって治療費の建て替えを行う必要がなく、治療だけに集中することができます。
健康保険を誤って使用する心配がないこと
他には「健康保険を誤って使用する心配がないこと」もメリットといえます。
指定外の医療機関を利用する場合労災のシステムを正しく理解できていない方などは、支払いの際に健康保険を使用してしまうケースがあります。
指定外の医療機関において、労災による病気や怪我の治療費に関しては労災保険を利用しなかったとしても、健康保険を適用することができません。
もし誤って健康保険を使用してしまった場合は、その旨を病院側に申告し健康保険から労災保険への切り替えの手続きを行う必要があり、病院によってはその変更手続きができない場合も出てくるので、そういった場合には自分で健康保険組合に連絡をするといった非常に面倒な手続きを行う必要が出てきます。
しかし指定された医療機関なら、支払い自体がなくなるので患者さんが誤って健康保険を使用してしまう心配がないことも、スムーズな治療を進める上で非常に大きなメリットといえます。
実際に労災病院で治療を受ける場合
では実際に労災病院で治療を受ける場合、被災労働者は治療費などの支払いを行う必要はありませんが、病院を通して所轄の労働基準監督署長に労災給付の請求書を提出する必要があります。
この時に必要となる書類が、業務災害だった場合は「療養補償給付たる療養の給付請求書(様式第5号)」、通勤災害の場合は「療養給付たる療養の給付請求書(様式第16号の3)」を用意する必要があります。
これらの請求書は厚生労働省のホームページより、ダウンロードをすることで手に入れることができます。
また病院で治療を受けると、薬剤は処方箋をもらって指定の薬局にもらいに行くという流れが一般的なので、薬を受け取る指定の薬局に対しても請求書を提出する必要が出てきます。
まとめ
そのため労災病院を利用することになったら、請求書を病院側に提出する分・薬局に提出する分の2通を用意しましょう。